_県民性鑑定
【熊本県人VS京都人】

組み合わせとして興味のあるのが熊本県人と京都人です。
雅びな伝統に包まれた京都人が、粗野で偏屈な熊本県人に対して、どのような反応を示すのか、とても気になるところです。伝統文化のある県民というのは、往々にして田舎者を見下すような態度がありますから、初めから相手にならないということでしょうか。
京都人が全国の県民性をモロに見聞することになったのは、やはり何といっても幕末動乱時でしょう。このころは全国からさまざまな人物が京都に押し寄せていましたから、嫌でもそうした県民気質というものを見せつけられることになります。
血気にはやって暴れまくる長州人、武蔵の田舎から出てきた新選組、朝廷か幕府かわからない日和見な薩摩人、責任感が空回りする会津人、そして肥後・熊本人はどうかといえば、世情に疎いこともあって幕末の志士はあまり活躍していません。
せいぜい学者の横井小楠あたりが挙げられますが、行動派ではなく思想家でしたから、京都人にはあまり知られていません。肥後にも勤皇派はいましたけれども、藩は認めていませんでしたので、おとなしかったのです。
唯一、京都人の記憶に残したのは河上彦斎という暗殺者くらいでしょうか。要人を何人切ったかわからないというくらいの凄腕の剣客です。ましてや京都・木屋町というド真ん中で、学者の佐久間象山を暗殺したのですから、肥後の彦斎恐るべしとなったわけです。ただ、坂本竜馬の暗殺と並んで、佐久間象山の暗殺は、京都人から見たなら野暮な行為に映ったようです。
京都人にとって「肥後もっこす」は、頑固者というよりも怖い存在の形容だったのかも知れません。いまはそんなイメージはないのでしょうが、京都人にとって熊本県人は何か掴みどころのない県民という見方はどこかに残っているようです。

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