人柄診断  【岩手県】
東北人は「暗い」といわれますが、なかでも岩手県人はとくに暗い。しかし、それは内に秘めたものがしっかりとあるためなのです。
以前に『ものいわぬ農民(大牟羅良著)』という、黙りこくった農民のモデルとなった岩手県人は、まるで日本のチベットに住む異邦人のような扱いがされていますが、これを裏返せば真面目で努力家、倫理観があって不言実行タイプという堅物の総称と捉えられるわけなのです。
私たち人間の性格のなかでも、「暗い」というのは嫌がられるタイプの上位にありますけれども、よく考えていただければおわかりになると思いますが、それは内側に心を向けて思索に耽っていることでもあるのです。
その思索の内容は一人一人違っています。ある人は夜空に思いを馳せて、宇宙のなかで散歩をしているかも知れません。ある人は厳しい現実を一遍の詩に込めて、密やかに一人で口ずさんでいるのかも知れません。
そんなロマンチストなのが岩手県人なのです。対話は自分自身のなかにあって、他人の世界との交流ではなかったのです。他人にものを言わぬぶんだけ、自分との対話を楽しんでいると考えてもいいのではないでしょうか。
たとえば有名人としては、夜空に思いを馳せて『銀河鉄道の夜』を描いた宮沢賢治がおります。その作品は明るく楽しいものが多く、「暗い」といわれる岩手県人のイメージを払拭しています。そして天才的な着想と豊かな表現力によって、いまでも多くの子供たちに夢を与え続けています。言い換えるならば、これは岩手県という風土が生み出した作品でもあるのです。
《◎》岩手県人の欠点は「暗い」にあるのではなく、排他的な性格にあります。部外者は寄せつけないといいますか、どうしても仲良しさん同士で固まってしまい、その仲間意識ばかりが先行して、他者に対する警戒心が強くなっています。とにかく、もう少し心を大きく開いて他者を受け入れる度量が欲しいと思います。

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